性能とデザインは切っても切れない関係です。どちらかが欠けるとお家の満足度が一気に下がるからです。
140年以上の歴史を持つ和賀組(WAGA DESIGN BUILD)が「秋田での家づくり」を先人の知恵や現代の住宅業界を踏まえながら、どうすれば上質な暮らしができるかを考えました。そこに建築家が加わり、土地を読み解き、「秋田で暮らすためのモデルハウス」を設計してもらいました。
そして完成したのが、住宅街にある60坪の土地に、子どもがもう一人欲しい三人家族のために設計された、30坪に満たない3LDKのモデルハウスです。
建築家の最初の仕事とも言えるのが、建築地の読み解きです。WAGA DESIGN BUILDのスタッフがまとめた敷地資料をもとに、実際に現地に足を運び、敷地単体ではなく周囲の環境や日当たりなどの気象条件をチェックし、じっくりと見て土地を確かめていきます。
今回モデルハウスを建築する潟上市は、秋田県の海沿い側に位置しているため、風がよく吹くエリアでもあります。そのため、雪が吹き付ける冬の風、過ごしやすい時期の風の取り入れなどが設計する上でポイントとなってきます。こちらの図は建築地における「卓越風」を表わしたものです。「卓越風」とは「ある地点で、ある期間に最も頻繁に現れる風向きの風」のことを指し、隣接する地域でも季節によって風向きが異なるケースが多くあります。この図を参考にし、現地を確認することで、モデルハウスの環境を読み解きます。
また、必ずといっていいほど住宅要望の一つとして挙がる「日当たりが良い明るい家」。この要望を叶えるために欠かせないのが「日射」についての考え方です。秋田は日射が少ないため、季節によって変化する日差しをいかに上手に建物に取り込むかが建築家の腕の見せ所なのです。今回の敷地では、道路がある東側から安定した光を確保できそうでした。また、秋田の生活では欠かせない移動手段である車の駐車スペースや冬場の除雪スペースも確保しなければなりません。
そして、この土地は既に三方向それぞれに住宅が建っていたため、どの向きにどんな機能の空間を設けるとお互いのプライバシーが確保されるのかという点も踏まえた設計が求められました。それらを踏まえ、建築家はこの土地における最適なゾーニングを導きました。
雪深い県南地域でよく見られるアルミ建材で作られた風除室。秋田のどこの地域かにもよりますが、年々採用される方が減っています。
モデルハウスがある住宅街でも片手で数えられるほどしか採用されていません。なぜか…
「見た目の問題」がよく聞く理由です。
そのためあったほうがいいと理解しつつも採用されない方が多くいらっしゃいます。
ならば、と建築家にデザインの力で解決してもらったのが「外土間」という考え方です。
風除室でよく見かけるのが、車のタイヤ・観葉植物・もらった野菜・除雪道具・ベビーカーなどの子ども用品です。
つまり、収納力があり、家の外観を損ねないスペースを設計してもらいました。パッと見は室内かと思うくらい溶け込んでいます。
写真のように自転車や除雪道具を置いてもまだゆったりスペースが残っています。スノーダンプが増えても、傘を広げて干すこともできる広さです。また、外土間の上部はロフトになっており、ハシゴを使ってシーズンオフのものを収納することができます。例えばアウトドア用品やバーベキュー用品など使わない時期はロフトにしまうことで外土間空間を溢れさすことなく使用できます。
さらに、土間なので野菜の土や、靴などについた雨や雪なども気兼ねなく使うことができます。断熱してない空間なので冬の暖房に当てたくないものも置いておけます。
この外土間は二帖半あります。秋田で暮らす際にゆったりとした土間は必須と考えています。特に子育て世代やアウトドア好きの方は土間が広いことで上質な暮らしに近づけると思います。
エアコン一台で効率良く冷暖房を効かすために、このモデルハウスでは「MAHBEX 涼暖システム」を採用しております。
通常、エアコンは天井近くの壁に設置されますが、このモデルハウスでは床上にエアコンを設置し、冷暖房の風を床下に送っています。その送られた風は床下を通って、各室に設置されたファンが吸い上げて床上に届きます。通常設置のエアコンでは壁などに阻まれてエアコンから遠い部屋には冷暖房が効きにくいですが、このシステムだとLDK、寝室、脱衣所、玄関などの温度が一定になり、ヒートショックのリスクも下げられ省エネに生活できます。
画像は冬のモデルハウスの実例です。外気温は氷点下ですが、エアコンは暖房21℃の自動風量設定です。にも関わらず室温は23℃近くあり、設定以上の室温を保っています。さらに、このエアコンはダイキン製の14畳程度用のものです。モデルは約29坪なので畳に直すと約59畳です。約4倍の畳数でもこれだけ効くのは県内トップクラスの高性能住宅だからです。一番光熱費が掛かるのは冬。年末年始も冬休みもあるので、家に居がちなこの季節を省エネに過ごすことが秋田での家づくりには必須ではないでしょうか?
インスタやWEBでこんな間取りがいい、こんなデザインがいいと夢膨らむ方も多いでしょう。しかし、性能が一定以上ないと快適に使えない残念な住宅と化してしまいます。2025年の省エネ義務化、2030年の最低基準引き上げに対応した住宅にするにはまず性能が大切です。目に見えないところだからこそお金を掛ける必要があります。
性能が高いからできる間取りや暮らしがあります。性能が高いと光熱費や医療費も下げられます。上質な暮らしをするために、ぜひ一度最高クラスの性能を体感してみてください。