セメント系改良工事は最もポピュラーな一方…
「セメント系改良工事」は広く一般的に使われている工法ですが、一番の懸念点は発がん性物質「六価クロム」が発生する可能性があるということです。六価クロムとは、かつて重大な社会問題となった「アスベスト」と並ぶ二大発ガン性物質として、LARC(国際ガン研究機関)及びEPA(米国環境保護庁)によりリストアップされている有害物質です。
2003年2月15日に土壌汚染対策法が施行され、もし汚染物質「六価クロム」が発生してしまったら、土地の所有者である皆様は、その汚染物質の浄化義務を負うことになります。
六価クロムが発生すると様々な面で被害が及びます。
1つ目は「環境」について。六価クロムが発生させることは「土壌汚染」として全国区の環境問題ニュースで取り上げられております。発がん性物質であるため、六価クロムが発生した土地の周辺住民への影響はとても大きいものになります。
2つ目は「健康」について。発がん性物質であるため、当然ガンを患うリスクがありますが、それ以外にも強い酸化作用から、皮膚炎や腫瘍の原因にもなってしまいます。また汚染された井戸水を飲むと、嘔吐を引き起こすことも報告されております。
3つ目は「資産」について。当然六価クロムが発生してしまうと、浄化作業などに莫大な費用が掛かってしまいます。また六価クロムを発生させた土地として、その資産価値はほぼ0になってしまいます。
セメント系改良を用いる場合には、「六価クロム」のリスクがあることも知っておくことが大切です。
鋼管杭、砕石改良のメリット・デメリットは?
「鋼管杭」はセメント系改良のような六価クロムの発生がありません。鉄筋コンクリート造などの重い建物でも耐えられるメリットがある一方、2014年横浜市都筑区のマンションで発生した「傾斜事故」のように、支持層の見極めが非常に重要となります。また他の工法に比べ、材料費が高価であるので改良費用は比較的高めです。
「砕石改良」は100%自然素材の「砕石」を使用しているため、環境負荷の非常に小さい環境保全型地盤改良です。またセメントなどを使用しないため、六価クロムの発生はありません。
デメリットとしては砕石改良を採用できる地盤に条件があるため、採用を希望される場合は住宅会社へ使用できるか聞いてみましょう。
まとめ
「どの工法を選べばいいのだろう?」と悩んでしまう方もいらっしゃると思います。まず安全性については、日本にあるほぼすべての工法が国からの認可を受けた工法ですので、安全性には差はありません。差が出るのはコストや工期などです。
さらに住宅会社ごとに標準で採用している工法は様々です。「なぜこの工法を採用しているのですか?」といった形で聞いてみるのも良いでしょう。明確な理由を持っている住宅会社はしっかりと説明してくれると思います。逆に説明が薄い住宅会社はそこまで地盤にこだわりは無いのかもしれません。
また本記事では、一般的な改良工事をご紹介しましたが、世の中には数多くの改良工法が存在します。住宅会社に提案された工法がどういったものなのか、特徴などをヒアリングしておくと良いでしょう。